捨てちゃって君のFairy tale
言葉にも重力があり発声することで発生する官能と感応もある。
文章の遠心力だけで逃げられるとこまで逃げて行きたい。
何も印刷されていない真っ白なままの型だけのパズルのピースを生の秋として食べると日曜日は立ち上がる。目が6つ指が11本のテディベアが壊れたオルゴールの美しい旋律に合わせて踊ってる。お互いの狂った時計で時を刻んでお茶の時間にあなただけ招きたい。
悔しくないの? と誰かが言った。鏡の中の私か夢の中の私だったかも知れない。
あなたの名前と同じ名前の十月の海。
地獄は地獄というだけで積乱雲のように自ら大きくなっていって、あなたに愛と罰を同時に降らせる。
[音楽]『ANTIFRAGILE』LE SSERAFIM
しなやかでしたたか、したたかでしなやかというより「しなやか」と「したたか」というどちらが主体になるのでもなくしたたかさとしなやかさを同率に同列に併せ持つ美しさを感じる。高らかな宣言とも言える幕開けから素晴らしいけどやっぱりリードトラックの「ANTIFRAGILE」が出色。意外とストレートなロック調の「No Celestial」とか表情も豊かでバランスの良いEP。何故だかふと「体は剣で出来ている。 血潮は鉄で心は硝子。 」を思い出した。
[音楽]『I love 』(G)I-DLE
「悪」と書いて[ワル]と読むようなワイルドさが常にある。ストリートに対して野生という言葉も相反してるような気もするけどでもそういう都会的な野生味というかアーバンな野蛮さがあってカッコいい。「Reset」を聴いてると泣いてしまう。
[本]『ヘクタール』大森静佳
多くを語れるようなことはない。失礼な物言いだし見当違いだとも思うけど切羽詰まってる。前も切羽詰まってたけど前は胃痛的な印象で今回は深刻な偏頭痛みたいな印象。不思議な感覚だけど他人の切実さのようなものが自分の心から湧き出てくる感じで、それは共感とはまた違う感覚なんだけど言語化するのは難しい。私が何か言うよりも私が好きな歌を幾つか引用しておくのでそれを読んでもらう方が早いだろう。
青空の深いところでほのひかる見たことのないあなたの乳歯
その声がわたしに穴をあけにくる数えきれないうつくしい穴
夕月夜 あなたの大きな心臓に直接手紙を書きたくて(書く)
傷つけてしまったことに動悸して秋だろう歯を何度も磨く
わたしにも見えるでしょうかモナリザのくちびるが吐きつづける砂が
恋は恋を踏みつけてゆく ざらざらとカフェオレの膜を塞きとめる舌
白鳥はおおきなランプ ほんとうに処女かどうかはわたしが決める
釘のようにわたしはきみに突き刺さる錆びたらもっと気持ちいいのに